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小規模地熱発電イノベーション

従来の地熱発電事業、これを便宜的に大規模地熱発電と呼んでおきましょう。それに対して小規模発電は、常識的には5MW以下の規模で、温泉の未利用蒸気・熱水での発電まで含みます。平成11年以降の地熱発電の低迷は、地下資源開発リスク、国立公園問題などが原因として挙げられていますが、主要な問題は温泉事業者をはじめとする地元の理解が得られない開発形態にあるのです。今まで、開発事業者は地元の理解を得るために地熱の有用性や周辺温泉への影響の有無を熱心に説明してきましたが、効果はありません。

平成23年に小浜地域での環境省委託事業「チャレンジ25地域づくり事業(小浜温泉未利用温排水による温泉発電事業化実証事業)」を皮切りに本格的な温泉╱小規模地熱発電事業化が始まったといってよいと思います。以降、温泉発電事業は大分県を中心に急速に発展し、現在は九州各県、そして東北、北海道へ広がりつつあります。

小規模地熱発電事業は、大規模地熱発電とは異なり、電力会社やエネルギー会社などの大資本の事業者が発電事業を目的として開発するものでなく、地域の存続、活性化のための地域事業であり、根本的に異なるものです。すなわち、小規模地熱発電は、発電規模自体は小さいものの、地域全体の経済構造、社会構造を変革していくもので、小規模地熱発電イノベーションといってもよいと思います。

残念ながら、大規模事業者にはこのことが理解されないようですが、小規模発電は根本的に大規模発電とは異なるのです。したがって、開発の手法も違うはずですが、まだまだ従来の調査・開発手法に拘泥されていると思っています。地熱学会では、そのことを指摘したいと思います。

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