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2016.07.27
社長室
保守化する大規模地熱事業者
近頃、奇妙な現象を目にする。今まで地熱開発をしてきた電力会社やエネルギー事業者が、周辺での地熱開発に対して自分の開発フィールドに影響があるということで反対を唱える。愚かなことである。自分たちが周辺の温泉事業者に影響がないと言ってきたことを今度は、温泉事業者以上に、影響を懸念する。熱水対流系の特性や地熱構造を考慮した開発、規模の違いなどを適正に考慮するならば、問題がないと言い切って良いくらいのところにも、慎重な姿勢を示す。
大丈夫だろうか、こんな姿勢で・・・。温泉事業者は大規模事業者のその姿勢をしっかりと見ている。今後は、大規模地熱開発事業への温泉事業者の反対姿勢はもっと厳しいものになることは覚悟しておいた方がよい。
また、地熱資源開発に未経験のデベロッパーが入ってくることがそんなに気になるものなのだろうか。自分たちが苦しんできた貴重な経験や技術がそう簡単に習得できるものではない。それぞれの地域で、どれほど多くの時間的、資金的犠牲を払ってきたことか、それを簡単に真似られると思っているのだろうか。
地熱エネルギーの開発、利用は日本にとって、地域の活性化にとって、推進していかなければならない。推進には多様な開発方法があってよいはずである。
大規模事業者はその努力を怠っている。残念ながら、大規模事業者に地熱発電の推進を任せておいては、見通しは暗い。